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艦船フリーデン内 休憩室。 大きなソファーに観葉植物が置かれた質素な作りのこの部屋で、ウィッツとロアビィの雇われ組は休憩をとっていた。 ロアビィはを何か考えているのか、壁に寄り掛かって難しい顔をしている。 ウィッツはウィッツでそれを全く意に介さず、つまらなそうにソファーに寝そべっていた。 「おかしいとは思わない?」 ふと、静寂を切ってロアビィがウィッツに話し掛ける。 「何がだよ?」 「ジャミル・ニートといえば、この世界じゃかなり名の通ったバルチャーだろ? そんな奴が実は時空管理局の人間で、『提督』なんて大層な役やってる超エリートと来たもんだ」 「……そのジャミルが、あんな小娘一人に血眼になってるってことか?」 「ご名答」 起き上がり様にウィッツはロアビィに顔を向ける。 実を言うと、ウィッツも少しだけティファの素性が気になっていた。 名目上二人への依頼は『船の護衛』だが、ジャミルから託された真の依頼は『ティファ・アディールの護衛』 しかも仕事は護衛だけだというのに給金は破格。 何故ティファという娘にそこまでこだわるのだろうか。 ウィッツには皆目見当もついておらず、それは話を始めたロアビィも同じだった。 「それにあんなに強そうな局員の方々連れてるのに、俺達みたいなフリーの魔導師雇うのも解せないんだよねぇ」 「裏があるってか?」 「ま、そういうこと」 「……ジャミルが何を考えてるか知らないが、俺には関係ねぇや」 理由を知った所で報酬を貰ったら即さよならだしな、と付け加える。 契約云々以前に、ウィッツは時空管理局と関わりたくないという強い思いがあった。 時空管理局の管理下に置かれたアフターウォーでは法が施行されている。 殆ど飾りに近い法とはいえ、バルチャーを営むにはその法律に則って管理局の許可が必要になるのだ。 しかし質量兵器の使用禁止や魔導師ランク取得などバルチャー認定基準がこの世界の住人にとっては厳しい為、ほとんどのバルチャーは無許可で活動をしている。 ウィッツも認定手続きが面倒だという理由で無許可バルチャーをやっており、時空管理局と行動を共にしている今現在もかなり居心地の悪い思いをしているのだ。 触らぬ神に祟り無しとでも言わんばかりに、ウィッツは再びソファーへ横になった。 そんなウィッツを見てロアビィが呆れたような表情を浮かべる。 「そいつは残念。彼女の秘密がわかれば、それをネタにして儲け話にでも」 「儲け話だぁっ!?」 完全に冷えたと思われたウィッツの態度が急速に加熱した。 ソファーから飛び起き、ロアビィにズイと詰め寄る。 金が絡んだ途端に豹変したウィッツの態度に驚きを隠せないロアビィだが、場所が場所だけに焦りを感じた。 「し、しーっ! 声が大きいよ。誰かが聞いてたらどうすんの?」 「聞いていたが、どうする気だ?」 ハッと口を抑えるが時既に遅し。 後ろから痛い程視線が突き刺さる。 目の前のウィッツの表情が引き吊っているのを見ても、後ろにいるのは話しを聞かれたら相当不味い人間だと言う判断はついた。 ロアビィは恐る恐る後ろを振り返る。 そこにいたのは怖い顔をした鬼……ではなく、腰に手を当てたシグナムとサラだった。 「全く、偵察に行くと呼びに来てみれば。油断も隙もあったものではないな」 「い、いやー……これはその、ちょっとした出来心で……」 「とにかく、キャプテンに報告します」 「ちょ、ちょっと待った!」 ロアビィは去り行くサラの腕を慌てて掴み、自分の方へと引き寄せる。 ジャミルに知られれば報酬を貰う前に追い出される危険さえあるのだ、かなり必死である。 しかしサラは煩わしそうにロアビィを睨み付け、捕まれた腕を振り払う。 「言い訳はキャプテンの前でどうぞ」 「怒ると、素敵な顔になるね」 「この状況でよくそんな口が利けたものだな」 身が危ないと言うこんな時まで口説き文句は忘れない。 そんなロアビィに呆れ果てるシグナムだが、サラは対照的に薄っすらと頬を染めた。 しかし厳しい表情が崩れることはなく、またすぐに部屋の外へと歩みを進める。 その時、またもロアビィの手がサラの腕を掴む。 「おい! 待てって言ってんだろ!」 「ちょ、ちょっと! 放して!」 「キャプテンキャプテン言ってるけどさ、あんたらだって何も知らされずにこんな偏境世界まで来てるんだろ!?」 「そっ、それは……」 確信を突く一言に今まで厳しかったサラの表情が一変した。 目を逸らし、ばつが悪そうな顔でうろたえている。 ロアビィはサラの腕を放し、今度は打先程とって変わった優しい表情を見せた。 「こっちだって命張って商売してるんだ。……せめて、あのティファとかいう娘のこと、知りたいと思うんだけどね」 「そ、それは……」 「シグナムさんもそう思わない?」 「全く思わんな」 即答。 シグナムにも自慢の話術で賛同してもらおうと企てていただけに、思わずロアビィは肩を透かしを食らう。 「私は主はやてを信頼し、主はやてが信頼したジャミル提督に全幅の信頼を寄せている。そのジャミル提督の事だ、何か考えがあってのことなのだろう」 「これは、見上げた忠誠心で……。でも、こちらとシグナムさんみたいにキッパリ割り切れるような性格してないんでね」 ね? とサラに微笑みかけるが、彼女は浮かない顔のまま何も答えない。 それはシグナムのように無償でジャミルを信用出来なかったことへの自己嫌悪によるものか。 はたまた、副官である彼女に何も教えてくれないことへの寂しさか。 結局ロアビィの言葉に何も返せぬまま、サラは無言を貫き続けていた。 ガロードがティファを連れ去ってから数時間。 二人は逃げ込んだ森の中で焚き火を前に並んで座っていた。 木々に囲まれた森の中だけに、月の明かりは入って来ない。 揺らめく炎の明かりだけが二人の顔を照らし出している。 「ティファ。君って、あいつらに捕まるまではどこにいたんだ? それに、あの不思議な力は?」 ティファに話し掛けながら、ガロードは焚き火の中へ拾ってきた小枝をくべた。 だが、ティファは答えない。 沈黙の中、枝の爆ぜる乾いた音だけが暗い森の中に響く。 「魔法、じゃあないよな? もしかして、前の戦争の時にいたっていう超能力者って君みたいな人だったのかな?」 再びガロードはティファに問う。 だが、やはりティファは答えなかった。 上空で透き通った風が吹き、頭上から木々がざわめく音がする。 雰囲気も手伝ってかその音は非常に不気味に聞こえた。 「なぁ、ティファ。黙ってちゃ何もわからないよ」 焚き火の暖かな光を眺めながらポツリ呟く。 そして沈黙が三度二人の間に落ちるかと思われた時だった。 「私は」 「え?」 殆ど自分からは何も喋らなかったティファが、ガロードに話し掛けてきたのだ。 軽い驚きに顔を横へ向けると、ティファと目が合う。 吸い込まれそうな紺碧の瞳がこちらに向けられていた。 「私は、あなたを知りたい……」 「ティファ……うん。わかったよ」 ガロードはティファからの意外な質問を嫌な顔一つせず快諾した。 気持ちの何処かで、ティファのことも知りたいが、自分のことも知っておいて欲しいと思っていたのかもしれない。 視線を再び焚き火の方へと戻し、ガロードは語り始めた。 「俺が生まれたのは、ちょうど戦争が終わった年だった……」 親父は軍に籍を置く技術者だったけど、戦争で死んじまった。 物心ついた頃って、まだめちゃくちゃだった。 太陽なんて出てないし、ずっと冬みたいだった……。 なんだかんだで、友達も半分くらい死んじゃったし。 やっと春が来るようになって、俺は時空管理局の技師になろうと思ってたんだ。 親父の血を継いだらしくって、昔っからそういうのが得意だったから。 それに管理局なら才能次第で子供でも雇ってくれるし。 でもある日、町は流れの魔導師の一団に襲われて……。 酷い有り様だった、ホントに……。 俺、昔から魔法の素質だけは全然なくてさ、何にも出来なかった……。 だから、そんな俺が助かったのは奇跡だった。 いや、あの時、俺は一度死んだんだと思う。 「……へっ、それでふっ切れちゃってさ。今みたいなお仕事になっちゃったってわけ」 「悲しい時代……」 「えっ?」 「思い出も、悲しい……」 そっと、ティファが自分の手をガロードの手に添える。 手自体は、少し冷たい。 しかし、何処か温もりを感じさせるその感覚にガロードの心は解きほぐされてゆく。 「私も、独り……」 「ティファ……」 ガロードは再びティファの瞳を見つめた。 先程は綺麗だと感嘆しただけだったが、今度は少しだけ違う。 ガロードの過去を知ったからか、深い悲しみの色がそこにはあった。 涙など一滴も零れ落ちていないのに、悲しみを感じさせる深い瞳。 その不思議な色に、ガロードはただただ見入っていた。 「暖かい、手……」 「え? ……うぇっ!? うわぁっ!!」 今更ティファに手を握られていることに動揺し、ガロードは慌てて手を離した。 気恥ずかしいやら嬉しいやら、思わず体が縮こまってしまう。 もちろん顔は沸騰したように赤くなっていた。 それが不思議なのか、ティファは小首を傾げる。 だが、次の瞬間その表情が強張った。 『Emergency』 「うわぁっ!?」 GXの警告と同時にティファがガロードを押し倒した。 突然の出来事に目を見張るガロード。 が、目の前を魔力弾が通過し、背後の森に着弾した瞬間全てを悟った。 自分達はまたも襲撃されていると。 「だ、誰だっ!?」 魔力弾が飛んで来たであろう方向を警戒しながら凝視する。 木々の間に魔力の光が見えた。 それはゆっくりゆっくりとガロード達の下へ近づいてくる。 森の中から出て来たのは一人の女バルチャーだった。 そして光は女の持っていたデバイスの魔力刃だと分かる。 「フフフ。お宝を見つけたよ?」 ガロード達を見つめ、女バルチャー――ヴェドバは妖しく微笑んだ。 魔力光が照らすその笑みは、背筋が凍るほど気味が悪い。 「さようなら、坊や達……」 弱者への慈悲でも掛けているつもりなのだろう。 そう囁くとガロード達に掌を向け、拳大の魔力弾を生成した。 GXを起動させようとするガロードだが、ヴェドバが魔力弾を撃つ方が早い。 ヴェドバがそのまま魔力弾を二人に放とうとした刹那。 ヴェドバが出ていた方とは全く違う方向から魔力弾が飛んで来た。 魔力弾はヴェドバとガロードの間に着弾し、凄まじい砂煙が両者を分かつ。 「なっ! 同業者かい!?」 「い、今だ! GX、行くぜ!!」 『Drive ignition』 砂煙の中、すぐさまティファを背に隠れさせガロードは叫んだ。 同時にガロードの体が光に包まれる。 僅か数瞬で光は弾け、バリアジャケット姿のガロードが姿を現した。 光が弾けた衝撃で立ち上がっていた砂煙も晴れる。 だが、そこには目を疑う光景が広がっていた。 「こっ、これはっ! なんて数の魔導師だ!?」 前から、右から、左から。 裕に50は超えるバルチャー達がガロードを狙っていた。 正確には、ガロードの持つGXを。 アフターウォーの大部分である闇を生きる人間は、何もバルチャーだけではない。 情報屋という人種もこの世界において幅を利かせているのだ。 二人が森へ逃げ込んで来た時に茂みから二人を観察していた人物もそんな情報屋の一人。 ガロードは運悪くもGXを所持している所を見られ、バルチャー達に広められてしまったのだ。 「くっ! 渡してたまるかぁっ!」 「うわぁっ!!」 『Round shield』 商売敵の登場に焦ったヴェドバがガロードへ襲いかかった。 辛うじてGXのオートガードにより魔力刃を防ぐ。 しかしいくらデバイスが高性能でもガロードは魔導師として素人だ。 GXに頼り切りで生み出したラウンドシールドは本来の強度の半分にも満たない。 貧弱な障壁はヴェドバの魔力刃によって火花を散らしながら着実に罅を入れられてゆく。 「フッフッフッ……もらったよ!!」 「まだ……まだぁ!!」 『Rifle form』 ガロードの叫びに呼応するようにGXが魔力の光を纏った。 操縦桿の姿は見る見る内に変わってゆく。 光が晴れた時、ガロードの手の中にあったのは白いライフル銃だった。 障壁を維持したまま銃口をヴェドバに向ける。 「ふんっ! 障壁の越しに狙ってどうするつもり」 「食らえ!!」 『Shield buster』 次の瞬間、勝ちを確信していたヴェドバの鳩尾に拳大の魔力弾が直撃した。 障壁として利用していた魔法陣を魔力構築に利用したのだ。 ヴェドバの余裕に満ちていた表情は一瞬で苦痛に歪む。 「がはっ!!」 肺からすべての空気が吐き出されたような錯覚に襲われながら吹き飛ばされるヴェドバ。 そのままの勢いで木に激突し意識を失った。 素人の放った弾とはいえ、ほぼ零距離で射撃魔法を食らったのだ、無傷で済むはずもない。 「よ、よし、まずは一人……うわああぁ!!」 ヴェドバを退け一安心……とは、他のバルチャー達が許さなかった。 同業者が倒れたのを機に、周りで様子を見ていたバルチャー達が一斉にガロード達に攻撃を開始してきたのだ。 罅の入ったラウンドシールドが雨粒の様に飛んでくる弾を防ぐが、いつ消滅してもおかしくない。 (くっ! これじゃあいくらガンダムでも……!) GXを強く握りしめ、反撃できない歯痒さを押さえつけるガロード。 これだけたくさんのバルチャーに囲まれれば、負けは目に見えている。 それに人数も去ることながら、相手は場数を踏んだバルチャー達。自分は初心者。 絶望的だ。 もしガロード一人であったならば、何が何でも逃げようとしていただろう。 「……って、弱音吐いてる場合じゃねぇよな!」 しかし、今のガロードは一人ではない。 守りたい存在が自分のすぐ傍にいるのだ。 有りっ丈の気合いを籠め、ガロードはライフルフォームのGXの銃口をバルチャー達に向けた。 「こんなところで死んでたまるかっ!」 狙いも付けずに引き金を引く。 人数が人数だけに狙いが定まらずとも弾は当った。 「死ぬもんかっ!!」 無我夢中になって引き金を引く。 魔力弾が放たれる度にバルチャーは一人また一人と倒れていった。 「死なせるもんかあああああっっ!!!」 とにかく一人でも多く倒し活路を開く。 自分の後ろに隠れているティファを守るの為に。 ガロードは引き金を引き続ける。 (ガロード……) 10人ほどのバルチャーがガロードの射撃によって気絶した頃。 ガロードを守っていた障壁についにガタが来た。 度重なる攻撃に耐え切れなくなったラウンドシールドは砕け散り、魔力弾の直撃がガロードを襲う。 「うわぁぁぁっっ!!」 バリアジャケットの強度があったお陰で痛みは耐えられる位だが、衝撃は緩和できない。 必死にその場に止まり反撃に出ようとするが、思ったように体が動かないことに気がつく。 慣れない魔力弾の連射にガロードの精神も限界を迎えようとしていたのだ。 「はぁ、はぁ、はぁ……!ジ、GX!」 『Round shield』 少しでも時間稼ぎをとなけなしの魔力で再び障壁を構築する。 が、構築された障壁は点滅し、今にも消えそうなほど頼りないものだった。 これが消えれば、本当にガロードには打つ手がなくなる。 「く、くっそぉ……これまでか………?」 「ガロード」 「えっ?」 ガロードが今度こそ諦めかけたその時、彼の背に隠れていたティファが口を開いた。 命の危機が迫っているというのに、彼女の声は落ち着きを放っている。 「あなたに、力を…」 「力? 力って一体……?」 ガロードが聞き返す声も聞かずティファは不意に目を閉じた。 何かを感じているのか? 理解に苦しむガロードだったが、変化はいきなりやって来た。 『ニュータイプによるシステムロック解除確認。サテライトシステム起動』 GXが告げた瞬間、ライフルフォームだったGコンはデバイスフォームへと戻った。 「な、なんだ!?」 『Satellite form』 「うわぁ!?」 変化はそれだけでは終わらなかった。 再びGコンが変形し、小型画面と透き通った緑のレンズ部が現れる。 更に発動させていない筈のリフレクターウイングの翼までもが出現。 極めつけは、ただ背負っているだけだった巨大な砲身が稼働し、ガロードの右肩を陣取ったのだ。 連続する変化について行けないガロードの前に、今度は空間モニターの画面が現れる。 そこには細かな文字とともに、こう記されていた。 『SATELLITE SYSTEM GX-9900 NT-001』と。 「サテライト…システム……? これが、その力なのか?」 その問いに小さく頷くティファ。 元の性格の為だろうか、それとも例の不思議な力で勝利を確信しているのだろうか、表情に不安や焦りは見て取れない。 しかしガロードにとっては些細なことだ。 諦めるくらいならとGXを強く握りしめた。 「よぉし……行くぜっ!」 『フラッシュシステム起動。メインシステムとの魔力リンク接続。初回ユーザー登録を行います』 丁度その頃。 ティファの捜索を再開したフリーデンが、今まさにガロード達が戦闘をしている森へ近付いていた。 戦闘と思わしき光を見つけ、もしやガロードではないかと疑いを持ったからだ。 守護騎士一同と雇われ組は偵察に行っているため、ブリッジには緊急時に襲撃できるようはやてが待機している。 「キャプテン、そろそろ戦闘区域に……あら?」 「どうしたですか?」 管制の手伝いをしていたリインがサラの疑問符を浮かべた声に反応する。 「あ、いや、戦闘中だと思われる魔導師一体の魔力値が規則的に上下しているの。どこかと通信でもしているのかしら」 「なに!? まさかっ……!」 「? ジャミル提督?」 「至急偵察に出ている守護騎士達を呼び戻せ!!」 「は、はいです!!」 様子が急変したジャミルに驚きつつも、リインはすぐにシグナム達と通信を始めた。 ジャミルは落ち着きを失い、体を震わせながら拳を握る。 脳裏に過るのは15年前の悪夢。 (やめるんだ! ティファッ!) 強く念じるジャミルだが、頭を駆け巡ったのは激しいノイズだけだった。 同時に、横にいたはやてが月から伸びる一本の光を視認する。 「なんや、あれ……?」 『ユーザー登録完了。魔力受信用ライン精製』 GXを銃を撃つように構えると、月から伸びてきた魔力ラインがレンズ部に直結した。 空間モニターの内容が文字から射撃照準へと変わり、ガロードの狙いと照準の中心がリンクする。 「次っ! 4.03秒後に……月の魔力!?」 「……来ます」 ティファの言葉の直後、膨大な月の魔力が魔力ラインを通してGXへと流れ込んできた。 同時にGX内蔵された小型画面にリフレクターウイングと全く同じ形のケージが現れ、魔力のチャージ量を逐一表示する。 ガロードの背のリフレクターウイングも更なる輝きを放ち、それに怯んだバルチャー達は思わず攻撃を中止した。 歴戦の勘から逃げ出す者も少なくない。 魔力を受けているガロード自身も、デバイスから伝わる魔力の強さにGXを握る力が強まる。 『ライン精製及び受信成功。チャージ完了までのカウントダウンを開始します』 「キャプテン! 例の対象魔力値が大幅に上昇しています!!」 「くっ! ティファよ……!」 ノイズと闘いながらティファに呼びかけるジャミルだが、返答は全くない。 遂には耳から鮮血が垂れ出してきた。 「は、はやてちゃん……」 「誘拐事件は起こるわ月からレーザー光線が降ってくるわ……今度は一体何が起きるって言うんや……」 不安げな表情を浮かべて近づいてくるリインを軽く抱き寄せ、はやては深く溜息をついた。 しかし、不安を抱えているのははやても同じだ。 ジャミルの只ならぬ様子を見ていれば、これから何が起こるのか想像がつかなくても恐怖を掻き立てられる。 何かとんでもないことが起こる。 フリーデンクルー全員が緊張に包まれた。 『Three』 ――秩序の崩壊したこの世界にあって、頼れるのは己の力だけである。 生きるためには、戦わねばならないのだ。 確かに戦争は終結した。 だが、一人一人の戦争は、まだ終わってはいなかった。 『Two』 だから人は力を求めた。 己の欲を満たすため、己の大切だと思うものを守るため。 ただ我武者羅に力を求めた。 手に入れた力は争いを招くと知っていて、それでも人は力を求めた。 そして、人が求めた力によって…… 『One』 悪夢は再び蘇る―― 『Count zero』 「撃つなあああああああああああああ!!!」 「行けええええええええええええええ!!!」 『Satellite cannon』 奇しくも、ジャミルの叫びとガロードが引き金を引くのは同時だった。 瞬間、サテライトキャノンの砲口から眩い『光』が噴き出す。 噴き出した『光』は一本の巨大な束となり触れたもの全てを飲み込んでゆく。 草花が、木が、暗闇が、人が、全て例外なく。 『無慈悲』という言葉が最も当てはまるのだろう、その光の前には如何なるものも抵抗を許されなかった。 「うああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 そして光の爆心地であるガロードの視界も光に包まれてゆく。 まるで自分の体が消えてゆくような感覚。 広がってゆく無音の世界。 目の前の現象を全く理解することが出来ず、ガロードはただ叫ぶしかなかった。 ――ティファの異変に気付かずに。 かくして、森は数分も経たないうちに光に溶けた。 強い恐怖のみを感じる、死の光に。 『GX-9900 ガンダムX』 15年前一つの世界を滅ぼしかけたデバイスの名である。 ―PREVIEW NEXT EPISODE― 復活したサテライトシステムにより、多くの人間が死に、ティファの心は深く傷ついた。 時空管理局の精鋭達により捕えられたガロードは、GXを奪われ監禁されてしまう。 そして他方では、大いなる悪意が静かに動き始めていた。 第三話「私の愛馬は凶暴です」 戻る 目次へ 次へ
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時空連邦平和維持軍(英語表記:Time-space Federal Peacekeeping Force)とは、勇樹が所属している軍の名称である。 通称:時空連邦(T.F.P.F.)。 概要 地球の「地球連邦平和維持軍」と、ミッドチルダの「時空管理局」が統合した大規模な軍事組織であり、全ての世界の平和を守るために日夜活動を続けている。 紛争根絶、人命救助、環境保護等、様々な活動を行っている。 地球や他の世界での信頼は非常に高く、国から特別な任務を依頼される程である。というのは今は昔。 だが、その中の一人であるリボンズ・アルマークが、有り得ない程の平和な世界を憂いて(実際は「世界を支配するため」である。)、時空連邦を潰そうと画策する。時空連邦の信頼を無くそうとする捏造資料と、口封じの為の要人抹殺、ヴェーダの強奪を企み、既に全体の1/2がリボンズ達の支配下に置かれている。この影響で管理局と連邦軍が分断され、リボンズが首領と化し、勇樹自身が総司令の立場を失ってしまったため、事実上壊滅状態になってしまった。そして、リボンズが総司令となり、地球連邦治安維持軍ティターンズと化す。 そしてこのような展開で世界の人々は混乱を見せる(但し銅時のみ喜んでいた)が、リボンズの言動やヴェイガンの出現でティターンズにも悪行が見え始める。その予感が的中したのか、ティターンズは崩壊。その後、新連邦が誕生する。 作者の趣味なのか、約9割が他作品キャラである。 なお、勇樹派のメンバー全ては、時空連邦壊滅後の際、時空管理局に移籍している。ちなみに悪行を重ねた旧連邦はティターンズに吸収された。新連邦設立後、勇樹達を除く管理局に所属していた元連邦メンバーの殆どが新連邦に戻った。 尺の都合と銅時氏の勇樹弄りの所為で活動描写は少ない。 基地の所在地 本部はイギリス・パリに存在する。 支部は各国に一つ存在する。 主なメンバー ()内は役割、【】内は作品名 上層部 深澤勇樹(総司令→管理局指令) 星井美希(勇樹の側近兼彼女)【アイドルマスター】 リボンズ・アルマーク(総司令代行→ティターンズ首領)【機動戦士ガンダム00】 秋月律子(総司令補佐)【アイドルマスター】 リンディ・ハラオウン(提督)【魔法少女リリカルなのは】 海馬瀬人(時空連邦スポンサー兼KC社長)【遊☆戯☆王】 長門有希(データベース総管理者)【涼宮ハルヒの憂鬱】 ティエリア・アーデ(スーパーコンピューター『ヴェーダ』管理者) 部隊長 (○○支部という表記がついていない場合は本部直属。) キラ・ヤマト(第1部隊長)【機動戦士ガンダムSEED】 高町なのは(第6部隊長兼教導官)【魔法少女リリカルなのは】 クラウド・ストライフ(第8部隊長)【ファイナルファンタジーVII】 御坂美琴(日本支部第5部隊長)【とある科学の超電磁砲】 刹那・F・セイエイ(第10部隊長)【機動戦士ガンダム00】 グラハム・エーカー(アメリカ支部第8部隊長)【機動戦士ガンダム00】 フェイト・T・ハラオウン(ミッドチルダ支部第6部隊長)【魔法少女リリカルなのは】 八神はやて(日本支部第6部隊長)【魔法少女リリカルなのはA s】 クロノ・ハラオウン(ミッドチルダ支部第96部隊長・元提督)【魔法少女リリカルなのは】 アスラン・ザラ(オーブ支部第4部隊長)【機動戦士ガンダムSEED】 シン・アスカ(イギリス支部第20部隊長)【機動戦士ガンダムSEED DESTINY】 暁美ほむら(日本支部第10部隊長→銅時メンバー)【魔法少女まどか☆マギカ】 副隊長・席官 ヴィータ(第6部隊副隊長)【魔法少女リリカルなのはA s】 ルナマリア・ホーク(イギリス支部第20部隊第三席)【機動戦士ガンダムSEED DESTINY】 張五飛(チャン・ウーフェイ)(イギリス支部第1部隊副隊長)【新機動戦記ガンダムW】
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何処かで誰かが悲鳴を上げている。 ― 魔法士【sorcerist】 ― それは、悲劇で ― モールド【mold】 ― あるいは、不幸で ― 魔族【The malevolent】 ― 世界は、きっと優しくなんかなくて 「クソッタレッ今日だけで4件だぞッ! 一体何が起こってるッ?!」 人は、きっとそんな世界に翻弄されるしかなくて 「シャロン……あなたも感じるの?」 「にゃぉ」 「……不思議な気配。魔族…違う。もっと、温かい……」 ……それでも 「おぉぉおおおおぉぉぉッ!顕(イグジスト)ォォッ!」 それでも、この世界には 「……流石に……こいつはもうだめかもしれないな……」 悲劇を、不幸を、優しくない世界を、変えようとする者がいて 「いくよッレイジングハート!」 <All right.> 「バルディッシュ、一瞬で決める!」 <Yes,Ser> あるいは、それもまた世界が望んだ物語で 「冗談だろ……オイ。ありゃなんなんだ、俺は夢でも見てるのかね」 「い、いえ……多分、私も見てるから夢じゃないと思います……」 だからそう、きっとこの出会いも、定められた必然で 「皆さん、大丈夫でした?」 「…怪我…してません…か?」 その日、戦術魔法士(おとこ)は魔法少女(てんし)達と出会った。 魔法少女リリカルなのは x ストレイトジャケット 「ショウジョタチのツバサ ~The Angels~」 単発総合目次へ その他系目次へ TOPページへ
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Unhealthy girl cheerful ほ・の・か! 紐糸日記 魔法少女リリカルなのはA’S~幼き賢者と魔法~ .
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朝焼けに染まる無人の街を、白い閃光が駆け抜ける。 桜色の魔力弾を周囲に従え、鋼鉄とコンクリートの森の中を縦横無尽に飛び回るなのはを、スバルは必死に追っていた。 「ウィングロード!」 スバルの声と共に出現した光の「道」――ウィングロードが、なのはの行く手を阻むように回り込む。 一巡、二周、そして三重……まるでリボンで包装するかのように、ウィングロードが幾重にもなのはの周りを取り囲む。 それは最早「道」ではなく、獲物を捕らえる一つの「牢獄」だった。 ウィングロードの網の目を潜り抜け、無数の魔力弾がなのはへと撃ち込まれる。 ティアナの狙撃か……迫り来る敵の凶弾を周囲で遊ばせていた自身の魔力弾で相殺しながら、なのはは冷静にそう分析する。 待ち伏せ……まんまと罠に嵌ったという訳か。 「でも……これだけじゃ全然甘いよ!?」 吼えるなのはの周囲に新たな魔力弾が生成され、前後左右、あらゆる方向に撃ち出される。 一見出鱈目に放たれた無数の魔力弾は、しかし周囲を取り囲む魔法の「檻」に正確に着弾し、まるで紙切れのようにズタズタに引き裂いた。 牢獄から解放されたなのはは、しかし次の瞬間、消えかけるウィングロードを高速で駆け上るスバルの姿を見た。 「リボルバー……!」 なのはの攻撃により途中から途切れたウィングロードを蹴り、デバイスを装着した右拳を振り上げながらスバルが跳ぶ。 撃ち落とすべくデバイスを構えるなのはの耳に、その時、 「龍魂召喚! フリードリヒ!!」 凛としたキャロの声が飛び込んできた。 驚愕の表情で背後を振り返ったなのはは、翼を広げた巨大な白い龍――フリードリヒの姿を認めた。 その口元には光が集束し、いつでも砲撃出来る態勢である。 「こんな街中でこんな大技を、しかもスバルまでいるこの距離とこのタイミングで……!?」 下手をすれば――否、どうしようとも、フリードリヒの攻撃がスバルを巻き込むことは確実である。 暴挙としか言えないようなキャロの行動に歯噛みするなのはに、そんなものはお構いなしとばかりにスバルの拳が迫る。 「――シュートッ!!」 気合いと共に打ち出されるスバルの拳を左手で受け止め、なのははデバイスを握る右手を掲げ、防御陣を展開した。 スバルをこのまま掴まえたまま、自分が盾となってフリードリヒの砲撃から守り抜く――この状況で教え子を救う方法を、なのははそれ以外に思いつかなかった。 全身全霊を込めて防御陣に魔力を注ぎ込むなのはの目の前で、その時、フリードリヒの姿が陽炎のように歪んだ。 幻術!? 動揺するなのはの思考を肯定するように、フリードリヒの虚像を突き破り、エリオがデバイスを振り上げながら姿を現した。 未だ空中を漂うウィングロードの切れ端を飛び石のように伝い、ジグザグな軌道を描きながら、エリオは防御陣の死角――なのはの頭上へと辿り着く。 エリオの足元に展開される加速用の魔方陣――ラゼンガンとの戦いで見せた、キャロとの連携戦術である。 「ストラーダ! 全力突貫!!」 号令と共にブースターを点火し、エリオは流星のようになのはに突撃した。 ストラーダの推進力に加えてキャロの補助、更に重力までをも味方につけて、エリオがなのはに迫る。 上空から降下してくるエリオという名の人間砲弾、しかし脅威はそれだけではない。 なのはに掴まえられたスバルの右拳、その周囲に、環を描くように魔方陣が展開される。 「ディバイン――」 スバルの声に合わせて魔方陣が回転を始め、激烈な光を放ちながら加速していく。 しまった……なのはは咄嗟にスバルの手を離し、後方へと飛び退いた。 なのはとスバルの間――本来なのはのいた場所を、エリオが空しく突き抜ける。 なのは拘束から解放されたスバルも、ウィングロードという足場を失い、重力に引かれてゆっくりと落下を始めた。 奇襲失敗……しかし、これで終わる二人ではなかった。 「ストラーダ……逆噴射!!」 怒号するエリオの指示に従い、ストラーダはブースターを逆方向――地上に向けて噴かした。 極限まで加速したエリオの突進力は一瞬で相殺され、偽りの無重力状態を作り出す。 無論、そのような無茶をして代償が無い筈が無い。 急激なGの変化に全身の骨が悲鳴を上げ、衝撃で胃液が逆流する。 しかし、まだだ……まだこれだけでは終われない。 デバイスを両手で握り直し、エリオは雄叫びと共に魔力を込めた。 ストラーダの穂先に魔力刃が出現し、のびる、伸びる、延びる……!! 己の身長の数倍、10m近い大きさまで達した魔力刃を、エリオは次の瞬間、あろうことかスバルへと振るっていた。 「スバルさん!」 叫ぶエリオの振り上げた魔力刃を、スバルは両脚でしっかりと踏み締めた。 「いっけえええええええええっ!!」 スバルの乗った魔力刃を、エリオは気合いと共に一気に振り抜く。 魔力刃の射出台から打ち出されたスバルが飛ぶ、そして同時に、スバルは跳んでいた。 重力の壁に風穴を開け、遥か上空に浮かぶなのはを目指して、ひたすら空を突き進む。 右手首を覆うタービンが、その周りを巡る魔方陣が、まわる、回る、廻る……! そして遂に、スバルはなのはの許まで辿り着いた。 「――バスター!!」 拳と共に至近距離から撃ち出されたスバルの砲撃魔法を、なのはは防御陣を展開して受け止める。 しかし尚も進み続けるスバルの勢いを殺し切れず、なのはの身体は徐々に後方へと押し飛ばされていく。 そして次の瞬間、なのはの背中が何かにぶつかった。 背後を振り返ったなのはは、次の瞬間愕然とした。 背中越しに広がる巨大な桜色の魔方陣――フリードリヒの虚像相手になのは自身が作り上げた防御陣である。 このままでは潰される……なのはは背中の防御陣を消滅させ、そしてスバルへの防御に集中した。 未だ勢い衰えぬスバルの拳となのはの防御陣がぶつかり合い、激しく火花を散らしている。 スバルの攻撃はなのはを押している――しかし今の状態では文字通り、物理的に「押している」だけに過ぎない。 スバルが拳を押し込めば押し込む程、それだけなのはは後方に退がる――それだけだった。 まさにジリ貧、決着のつかないこの攻防は、しかしスバルにとっては圧倒的に不利な状況だった。 砲撃呪文の効果が尽きれば攻撃を支えていた推進力は消え、空を飛ぶ術を持たないスバルは再び重力の鎖に囚われ、ただ落下するしかないだから。 「あたしは……」 しかし、スバルは諦めない。 拳を押し込んだだけ後ろに退がられるのならば、退がられる前に突き破れば良い。 向こうが一歩退がるのならば、自分は二歩進めば良い。 もっと強く、もっと速く。 一途な思いを拳に乗せて、スバルはひたすら前に進み続ける。 ……鼓動が聞こえる。 アンダーウェアの下のコアドリル、『あの人』に貰った宝物が脈動している。 「あたしの拳は……!」 ピシリ……なのはの防御陣に亀裂が入った。 瞠目するなのはの目の前で、亀裂は段々と広がっていき、遂に防御陣全体を蜘蛛の巣のように覆い尽くす。 「――天を、突くっ!!」 咆哮と共に打ち抜かれたスバルの拳に耐え切れず、防御陣が音を立てて砕け散った。 「あたしを誰だと思ってる!!」 粉々に弾け跳ぶ防御陣、桜吹雪のように舞い散るその残滓を全身に浴びながら、スバルは不敵な笑みを浮かべて決め台詞を口にする。 しかし目の前の相手が自分の直属の上司、しかも命の恩人であり憧れの人でもあることを思い出し、 「――んですか!!」 スバルは慌ててそう付け加えた。 ともあれ、これで邪魔な防御は打ち破った。 後はこのままなのはに一撃与えれば――もっと手っ取り早く言えば、このまま殴り飛ばせば、この戦闘は終了である。 もう一度拳を振りかぶるスバルに、なのはも最後の抵抗を見せるようにデバイスを構える。 停滞、或いは後退を考えるのならば、足場の無いスバルが不利である。 しかしそれ以外の選択――このまま前進するのならば、何の問題も無い。 なのはが呪文を使うと前に、デバイスを武器代わりに振るう前に、己の拳を届かせる自信がスバルにはあった。 チェックメイト……しかし油断はしない。 何故ならば、相手はなのはなのだから。 刹那にも満たない静寂――しかし向かい合う二人には永劫の時間のように感じられた。 二人の間の時間が止まり、そして再び動き出す。 最初に動いたのは、スバルか、なのはか――否、そのどちらでもなかった。 廃ビルから放たれた一発の魔力弾、完全な不意打ちとして撃たれたそれは、防御陣の消えたなのはの無防備な背中に吸い込まれ、純白のバリアジャケットに焦げ跡を作った。 「……ちょーっと卑怯臭かったかな?」 タイミングを崩されたことで空振りし、そのまま落下するスバルと、慌ててスバルを掴まえに降下するなのはを見ながら、ティアナはそう呟いた。 全く悪びれた様子の無いティアナの言動に、隣のキャロとフリードが嘆息する。 「ティアナさん……空気読みましょうよ」 こうして、この日の早朝訓練は終了した。 朝日に照らされたハイウェイを、黒い車が疾駆している。 「おぉー、あの子ら意外とやりおるなぁ」 カーナビの液晶に映る戦闘映像――スバル達の早朝訓練の様子を眺めながら、はやては感嘆したように声を上げた。 隣でハンドルを握るフェイトも、同意するように首肯する。 四人の中で一番足の速いスバルが追い込み役となり、他の三人の潜む待ち伏せポイントまでなのはを誘い出す。 本来足場として使用するウィングロードを包囲網として応用し、なのはの足を止めたところで、ティアナの幻術――偽のフリードリヒを投入する。 キャロにフェイクの召喚呪文を叫ばせることで虚像を本物であると思い込ませ、更にスバルを特攻させることでなのはの思考から余裕と選択肢を殺ぐ。 防御魔法は全部で三種類――受け止めるバリア系、弾いて逸らすシールド系、そして身に纏って自分を守るフィールド系。 スバルもいるあの状況でなのはの選べる選択肢は、バリア系かシールド系の二者択一、更に訓練場の仮想空間とはいえ、周囲の被害も考えれば選べるのは一つ。 バリア系――それも障壁が半ば物質化程高密度に魔力を練りこんだ強固なもの。 しかし如何なる魔法にも長所と短所があり、バリア系及びシールド系防御魔法の例で言えば、一方向にしか展開出来ないという弱点がある。 その弱点を衝き、虚像のフリードリヒの後ろという死角からエリオを特攻させ、バリアの効果の及ばない頭上からなのはを強襲させる。 更にスバルにも攻撃魔法を使わせることで一方に集中した対処という選択肢を奪い、チェックメイト。 結局はなのはに逃げられたという結果からも分かる通り、まだまだ甘い部分も多々あるが、それでも戦術としては十分及第点として評価出来る。 寝惚け頭でよくもまあ……この作戦を考え出したであろうティアナに、はやては内心舌を巻いた。 最後の不意打ちのことも鑑みるに、意外とえげつない性格なのかもしれない。 軌道六課が正式稼動を開始してから、二週間が経とうとしていた。 誤解、それから潰し合いという最悪の出会いを果たしたスバル達前衛四人だったが、今回の戦闘映像を見た通り、その後のチームワークには何の支障も出ていない。 全力のぶつかり合いが良い方向に影響を与えたのかもしれないし、始末書という共通の敵を相手に戦ったことで連帯感が生まれたのかもしれない。 何にせよ、「雨降って地固まった」という訳である。 それになのはとフェイトの介入により喧嘩両成敗という形で幕を下ろしたあの戦闘も、問題は山積みであったが全くの無意味という訳でもなかった。 ラゼンガンはフルドリライズモード――なのは達で言うフルドライブモード、キャロは完全制御状態でのフリードリヒの召喚に、共に成功している。 初陣を控えた機動六課前衛陣にとって、この二つの戦力の底上げは喜ばしい誤算である。 ……と、本部に提出した始末書の中で、はやてはそう言い訳した。 「……辛うじて「不幸中の幸い」に引っかかるかどうかーってトコなんよね、本音を言えば」 事ある毎に「ラゼンガンとフリードリヒのどちらが強いか」という口論を展開し、その度に再戦を申請してくる新人達を思い出し、はやては疲れたように息を吐いた。 パイロットとしてのスバルの矜持も納得出来るし、家族に良い格好をさせてやりたいというキャロの気持ちも理解出来る。 分かる、解るが……「お前ら子供か」とはやては声を大にして言ってやりたい。 スバルは兎も角キャロの方は本当に子供なのだが、それはそれ。 通常業務に加えて初日の不始末の事後処理で忙しいというのに、その上さらに仕事を増やそうとする新人達に、はやては笑顔と青筋を浮かべて申請書を握り潰すのだった。 この軋轢のせいでチームワークがガタガタになってでもいれば、雷を落としてそれで済むのだが、通常の連携には何の問題も出ていないのが逆に厄介なのだ。 己の部隊の前衛の実態を改めて思い起こし、はやては再び嘆息を零す。 「……そ、そう言えば、新人の皆への新デバイスの受け渡しって、確か今日だったよね?」 沈んだ表情のはやてを横目で見遣り、フェイトは話題を変えるべく口を開いた。 その言葉にはやては顔を上げ、幾分か明るくなった表情で首肯を返す。 機動六課の誇る前線メンバーとメカニックスタッフが、技術と経験の粋を集めて完成させた、四機の最新型デバイス。 ローラーブーツ型インテリジェントデバイス――マッハキャリバー。 拳銃型インテリジェントデバイス――クロスミラージュ。 槍型インテリジェントデバイス――ストラーダ。 グローブ型インテリジェントデバイス――ケリュケイオン。 後者二つは未完成だった素体を調整完成させた正式版である。 部隊の目的に合わせ、そして使い手それぞれの個性に合わせて造られた四機の専用デバイスは、更に別の意味でも「特別」だった。 魔力炉と超小型螺旋エンジンのハイブリッド機関――実験的に搭載されたその新型動力炉が、実力や限界を超えた所謂「火事場の馬鹿力」をも本当の力に変えてくれる。 あくまで理論上は、であるが。 ともかく、これで新人達も実戦の用意が整った。 これで予想外の緊急事態にも対応可能な、確固とした下地が完成したのだ。 「これで漸くカリムにも顔上げて会えるわ……」 安堵したようにそう呟き、はやてはシートに背中を埋めた。 聖王教会の騎士、カリム・グラシア――機動六課の後見人の一人であり、人材集めに奔走するはやてに代わり機動六課立ち上げの実質的作業を引き受けてくれた恩人。 八年前、教会騎士団の仕事に派遣された時以来の付き合いとなる、上司というよりは姉のようなその人物に、はやてはどうも頭が上がらない。 そのカリムからはやては緊急の召喚を受けた。 騎士として聖王教会の中で高い地位にあるカリムは、その立場上聖堂から自由に出歩くということは出来ない。 よって何か用事がある場合は必然的にはやての方が教会に出向くことになるのだが、今回の召喚には何か不穏な予感が付き纏う。 少なくとも、呑気にお茶を飲んで無駄話するだけでは、とても終わりそうにない。 「……カリムの占いはな、よく当たるんよ」 粛然とした表情で口を開くはやてを、フェイトはちらりと一瞥した。 カリム・グラシアの保有するというレアスキル〝預言者の著書〟――詩文の形で未来を予言する能力のことを言っているのだろう。 はやてから又聞きした話では「よく当たる占い」のようなものらしいのだが、カリムが後見人として自分達機動六課に関わる理由も、その予言が大いに関係しているという。 当たるも八卦、当たらぬも八卦という占いとは違い、確かな力があるということだろう。 「ウチもな、一つ予言してやろ思う」 真剣な表情を崩さぬまま、はやては続ける。 「これからウチらの向かう先には……何かあるで」 確固とした口調で断言するはやてに、フェイトは思わず固唾を呑んだ。 「何かって……何が?」 震えそうになる声でそう尋ねるフェイトに、はやては真顔でこう答える。 「何かや」 「…………」 それは予言ではなく単なる勘というのではないだろーか……喉の先まで出かかったツッコミを、フェイトは辛うじて飲み込んだ。 言葉は力を持つ――第97管理外世界〝地球〟極東、はやての故郷〝日本〟に伝わる、「言霊」という概念である。 ミッドチルダ北部、ベルカ自治領。 そこはやて達を待ち受ける、はやての言うところの「何か」の存在に、二人はまだ気付いていなかった……。 天元突破リリカルなのはSpiral 第7話「これからウチらの向かう先には……何かあるで」(了) 戻る 目次へ 次へ
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前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 子供が森を走っていた。 男の子だ。 たぶん学院の周りにある森のどこか。 秘薬の授業で行った覚えがある。 走って走って走って走る。 息を切らせた男の子が立ち止まる。 よく見ると腕から血を流している。 怪我をしているようだ。 男の子は周りを見回す。 なにかを探しているのだろうか。 動きが止まる。 なにかを見つけたのだろうか。 男の子は突然赤く丸い宝石を持ち、手を伸ばす。 溢れる光が魔法陣を作りだす。 今度は男の子が見ている方から音がした。 なにかは解らない。 2つの目だけがぎらぎら光る獣のようなもの。 それが男の子に向かい突進してくる。 危ない、と思った。 でも少年は動かない。 かわりに呪文の詠唱を始める。 「たえなる響き 光となれ 許されざる者を 封印の輪に」 獣が男の子に飛びかかる。 「ジュエルシード封印!」 獣が魔法陣にぶつかった。 光が強くなる。 魔法陣の魔力が吹き出す。 木を揺らし、獣が引き裂きさかれていった。 だけどそれだけ。 獣は弱った体を引きずりながら逃げ、男の子は膝をつく。 「逃がしちゃった。追いかけなくっちゃ」 男の子は倒れる。 動かない。 だけど、その子の声は聞こえた。 「誰か、僕の声を聞いて……力を貸して……魔法の力を」 男の子が光に包まれる。 やがて光は消え、男の子のいたところにはフェレットと赤く丸い宝石があった。 「……変な夢」 寝ぼけ眼で朝起きたルイズの第一声がそれだ。 なんであんな夢を見たのか解らない。 フェレットも、宝石も、男の子も、獣も、どれも聞いたこともないし見覚えもない。 第一あの言葉 「力を貸して……魔法の力を」 あれはなんなんだろう。 「私の夢で言わなくてもいいじゃない!私の……夢で」 落ち込みかけた気分を顔を思いっきり回して振り飛ばした。 今日は大切な日、春の使い魔召喚なのだ。 そのためにルイズは身支度を調えると、召喚の場へと走った。 みんな召喚を終わらせていく。 ルイズは最後だったが、自分の番が近づくたびに心臓が大きく動いていくのを押さえられなかった。 犬、猫、土竜、バグベアード、サラマンダー。 中には竜を召喚した者までいる。 みんなうまくいってる。 ──でも、でも私は…… 「ミス・ヴァリエール」 突然、教師のミスタ・コルベールに呼ばれぼうっとしていたルイズは辺りをきょろきょろ見回した。 「なにをしているのです?あなたの番ですよ」 ルイズを笑う声があちこちから聞こえてくる。 「お、ルイズが召喚するぜ」 「どうせ、できないよ。ゼロだからな」 そんな声をルイズは無視して広場の真ん中まで歩いた。 「さあ、始めなさい」 ルイズはうなずく。 いつも失敗している魔法。 でも、今日だけは成功させないといけない。 深呼吸をして目をつぶる。 杖を突き出し、精神を集中。 「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ!」 いつもとちがった。 魔力が集まっていく。 「強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ! 」 使い魔のイメージまで見えてくる。 思っていたのとは違うみたいだが、それでもそのイメージを放さない。 「私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」 異国の言葉が聞こえた。 「all right.」 「え?」 爆発が起こった。 いつもの爆発。 「あ……」 だけど今日は違っていた。 爆発の後には首に宝石をかけた薄い黄色のフェレットが一匹。 「できた……私の使い魔、召喚できた」 ルイズは駆け出し、フェレットを抱き上げる。 「つぎは……そう、コンストラクト・サーヴァント」 「待ちなさい!」 ミスタ・コルベールに止められた。 「君の使い魔は弱っているようだね。コンストラクト・サーヴァントは待ちなさい」 よく観るとフェレットは怪我をしている。 それに、息はしているが動かない。 「コンストラクト・サーヴァンは使い魔が回復してからにしなさい。薬を用意しよう」 「はい」 「他のみんなは、教室に戻りなさい」 返事をした生徒達は未だ落ち着かないルイズを残し、フライの魔法で空を飛んで教室に戻っていく。 「使い魔、ちゃんと治せよ」 「わかってるわよ」 いつもと変わらない気の強そうな目でルイズは空を飛ぶ生徒を見返していた。 「なにをしてるんだね。早く来なさい」 ルイズは自分の召喚したフェレットをしっかりと抱きしめ、コルベールの後を追った。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ
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前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 空には2つの月と星。 机の上に置いた藁を敷き詰めた箱の中で怪我をしたフェレットが寝ていた。 ルイズは腕を枕に机に突っ伏して、そのフェレットを見ているた。 今日は本当に疲れた。 人間用の回復の秘薬は小動物には強すぎるので薄めないと使えない。 それを何回も何回も傷口に塗り続けている。 それでやっと治ってきた。 「ねえ、元気になってよね」 返事はない。 「早く名前くらいつけさせてよ。私はルイズって言うのよ。ご主人様の名前よ。しっかり覚えなさい」 やっぱり返事はない。 また指先に薬をつけて塗っていく。 「そうよね。まだコントラクト・サーヴァントもしてないんだものね」 だんだんまぶたが重くなる。 「手間の……かかる……使い魔ね……」 疲れ果てたルイズはそのまま夢の世界へ落ちるように旅立った。 ルイズが夢の世界へ旅立ってから少し立った頃、箱の中のフェレットは前足を立て、体を起こした。 ルイズの体をしげしげと見て、机から飛び降りる。 扉が少し開いているのを見つけると、フェレットはその隙間から部屋を出ていった。 ルイズが目を冷ましたのはまだ暗いときだった。 薬を塗る時間が過ぎたのにあわてて箱の中を手で探るがなにもない。 「どこ?私の使い魔、どこに行ったの?」 窓の外に赤く光る小さな点が見えた。 何か根拠があるわけではないがルイズはそれが使い魔が首からかけていた赤い宝石だと思った。 あわてて部屋を出て階段を駆け下りる。 外に出ると赤い光が消えるのが見えた。 あの先には学院の出入り口がある。 「外に出ちゃったの!?」 あわててルイズは追いかける足を速めた。 木の生い茂る森の中でも見失ったりはしなかった。 見えなくなる度に赤い光が見えて方向を教えてくれる。 木の根につまづいたり、枝が服を破いたりしたけど使い魔に逃げられるよりはずっとましだ。 走っているうちに随分遠くに来た気がする。 やがて少し開けた場所で赤い光が止まった。 追いついて使い魔をつかまえようと思ったが止めた。 使い魔が光りだしたからだ。 「な、なに?」 茂みに隠れてのぞき見ると、フェレットだった使い魔は人間の姿に変わっていった。 「あの男の子……」 どこかで……夢で見たような気がする。 男の子は周りを見回す。 ルイズの方を見た。 見つかった!と思ったとき、ルイズの後ろでうなり声がした。 「きゃあーーーーっ」 目だけが爛々と光る獣のような者がいた。 襲いかかってくる歪んだ影を見ると、ルイズの身はすくみ、思わず目をを閉じてしまった。 「ルイズ!」 名前を呼ばれ、目を開ける。 さっきのフェレットが変身した男の子がいた。 手を前に突きだし、光の魔法陣で獣を防いでいる。 「来ちゃったんだ……」 「え?なに?どういうこと?なんで私の名前を知ってるの?」 「それは……う……」 男の子がうめき出し、魔法陣の光が霞む。 獣が魔法陣から下がり、着地した反動で縮めた体を伸ばし、もう一度魔方陣めがけて突進する。 「うぁああああああ!」 「きゃああああ!」 消えかけた魔法陣では二人を守りきれない。 はじき飛ばされ、何度も地面を転がった。 「なにあれ。逃げないと」 手を引っ張って走り出そうとしたけど男の子の子はうずくまったまま動かない。 苦しそうに手で体を押さえていた。 フェレットだったらルイズが薬を塗った場所だ。 「あなた、やっぱり」 獣のうなり声がまたした。今度は上から。 ルイズは少年を引きずって飛び退く。 そばにある木が真っ二つに割れた。 「あんなのって……どうすればいいの?」 地面にめり込んだ獣が触手を出してもがいている。 すぐには出られないみたいだが、そんなに長くはかからないだろう。 あそこから出られたら捕まってしまう。 逃げても獣の方がずっと早い。 ルイズの手が男の子に引かれた。 「ルイズ……使って。魔法の力を」 「だめよ」 ルイズは叫ぶ。 「私には魔法が、魔法なんて使えないの!」 「大丈夫」 男の子は苦しそうだ。 「君には資質がある。だから、これを」 男の子はルイズに赤い宝石を握らせる。 「これ……」 「それを手に、目をとじて、心を澄ませて」 「え?これを」 何が何だか解らなかった。 「はやく!」 男の子が叫ぶ。 ルイズは男の子の言葉通りに目を閉じた。 「僕の言ったとおりに繰り返して」 「わかったわ」 「いい?いくよ」 「いいわ」 男の子が目を閉じる。 「我、使命を受けし者なり」「我、使命を受けし者なり」 男の子の言葉にルイズが続く。 宝石の光が強くなる。 「契約のもと、その力を解き放て」「契約のもと、その力を解き放て」 宝石から鼓動が聞こえた。 「風は空に、星は天に」「風は空に、星は天に」 ルイズの鼓動と宝石の鼓動が1つになる。 「そして不屈の心は」「そして不屈の心は」 宝石の力とルイズの魔力が合わさる。 ルイズと男の子の言葉も同時に響く。 「この胸に。この手に魔法を。レイジングハート、セットアップ!」 「stand by ready.set up.」 召喚の時に聞こえた異国の言葉をもう一度聞いた。 宝石の光がさらに広がった。光は天をつき、獣をひるませ、ルイズを驚かせる。 「落ち着いてイメージして。君の魔法を制御する魔法の杖の力を、そして君の身を守る強い衣服の姿を」 「いきなり言われてもそんなの……あ……」 思い出した。 学院に入学する少し前。わくわくしながらベッドの中で思い描いたこと。 誰にも負けないすごいメイジになった自分の姿を。 途端に、ルイズ自身が光り出す。服がほどけ、別の服が編み上げられる。手にはいつも持っている杖ではなく、もっと強い杖が握られる。 「成功だ」 光が消えたとき、男の子はルイズの新しい姿を見た。 ルイズは自分が考えたとおりの服着て、新しい杖を持った自分自身を見つけた。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ
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前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの朝は早い。 というか早くなってしまった。 他の学院生徒や職員より早く起きたルイズはユーノを肩に乗せてバリアジャケットを装着。 フライアーフィンを足下に光らせ、こっそり窓から飛び立つ。 学院周辺に広がる森の開けた場所の上を2、3回周り人がいないことを確認すると着地。 「今日はここで練習するわね」 肩から飛び降りたユーノが答える。 「うん。ちょっと待ってね」 ユーノは自然にできた広場にあるルイズの背よりも大きい岩に走り、拾っていた小石を3つ並べた。 「まずは魔力制御の練習だよ。ここに並べた石を魔法で1つずつ打ち落としていくんだ。たくさん魔力を使わなくてもいいからよく狙って」 「わかったわ」 ルイズはレンジングハートを構えて魔力を集中させる。 杖の先にある赤い球が光り始めた。 「シュートっ」 魔力が弾丸となって尾を引いて飛ぶ。 小石を乗せた岩の下の方にぶつかった。 「もう一回!」 今度は遙か上の方にそそれ、どこか遠くへ飛んで行ってしまった。 「ルイズ、魔力の球は飛ぶだけじゃなくて方向を変えることができるんだ。落ち着いて魔力を制御して」 「わ、解ってるわよそんなこと」 さらにもう一回。 右に少しそれて飛ぶ。 「左に……飛んで!」 魔力弾は左に急カーブ。 広場の端にある木に当たって爆発を起こす。 「このっ!!もう一回!!」 今度は下にずれたので上へ軌道修正。 空高く飛び上がった魔力弾は見えなくなってしまう。 「なんで思ったように飛ばないのよ!!」 5発目。 「この、このっ」 6発目。 「このっ、このっ、このっ」 7発目。 「このーーーーっ、このこのこのこのこのこのこのこの」 8、9、10、11、12…………もはや連発になって幾つ飛ばしたか解らない。 その度にどこかに当たって爆発が起こる。 「何でよ、何でよ!こんなにたくさん打ってるのに!!1つくらい当たりなさいよ!!!」 さらに撃ち続ける。 「る、ルイズ落ち着いて。落ち着いて制御して」 ルイズは連射を止める。 大きく吐いて息を止めた。 それから吸い込んで深呼吸。 「そうね……そうよね。こんなに小さいのを飛ばしているから当たらないのよね。もっと大いのを飛ばさないと」 「え?」 レイジングハートを構える。 足を広げて、重心は深く。 「な、何する気?」 虫の知らせというのだろうか、ユーノは背筋に氷を入れられたような感じがした。 「リリカル……マジカル」 新しい魔力弾が形成される。 その輝きはさっきまで連射してたものよりも遙かに大きい。 「ルイズ、今はそんなふうに出力あげるんじゃなくて小さくていいから魔力の制御を練習して!」 「うるさい!リリカル……マジカル!」 魔力弾の大きさはそのままに輝きが強くなる。 「そんなに強い魔力弾を作ったらコントロールが難しくなるよ!!」 「うるさい!うるさい!リリカル……マジカル」 輝きはさらに強くなる。 そしてルイズの周りの風景が陽炎のように揺れる。 「ルイズ、やり過ぎだよ。魔力が漏れてる!」 「いいの!これでいいの!!リリカル……マジカル」 魔力弾は眩しくてもう直視できない。 漏れ出た魔力に煽られ、風が渦巻き、周りの木々を揺らした。 「わ、わ、わ、わ。ルイズ、止めて、止めて、そのままじゃ……」 「リリカル……マジカル!!!!!」 「Overflow」 ルイズとユーノは空を見上げて地面に寝ている。 森にできていた広場は二回りくらい大きくなっていた。 さっきまで草に覆われていた地面は土が剥き出しになっている。 「ねえ、ユーノ」 「何?ルイズ」 空の色が少しずつ濃くなっていく。 「爆発……しちゃったね」 「魔力を溜めすぎたんだよ。ルイズがうまく制御できるようになったら爆発せずにもっと溜めることができるよ」 「そう……」 小鳥の声が聞こえる。 爆発で逃げていた小鳥たちが戻ってきていた。 「ねえ、ユーノ」 「何?ルイズ」 「わたし、制御の練習もっとがんばるわ」 「うん、それがいいよ」 ハンカチで顔を拭く。 顔についた煤で黒ずんでしまった。 「空……高いね」 「うん」 ユーノが咳を1つ。 口から黒い煙を噴いたように見えたのは気のせいだろうか。 顔を横に向けると爆発で剥き出しになった地面が見えた。 ずーっと遠くまで見ていくと爆発に耐えた草があった。 その草の葉にトンボがとまった。 光の線が走るような感覚がした。 「ユーノ!」 この感覚は間違いない。 もう、3回目になるあの感覚だ。 「うん、ジュエルシードだ」 ルイズはマントを翻して起き上がる。 ユーノも飛び起きてルイズの肩に飛び乗った。 「行くわよ」 フライアーフィンが足下で光る。 地面を蹴って、ルイズは空に飛び上がった。 朝靄の中を獣が歩いていた。 大きい獣だ。 というより猫だ。 平屋の建物よりずっと大きい猫が歩いている。 ずんずんと足音を立てて歩く。 立ち止まって大あくび。 その大きな猫を木の上から見ている少女がいた。 黒いマントと衣装を着た少女は手に持った黄色い宝石を着けた黒い杖を水平に持ち上げる。 「バルディッシュ。フォトンランサー。電撃」 少女は杖をバルディッシュと呼んだ。 バルディッシュは答える。 レイジングハートと同様に。 「Photon lancer.Full auto fire.」 杖の先に集まった魔力が光の槍となって撃ち出される。 光の槍を受けた大きな猫は悲鳴を上げ駆け出そうとした。 黒い少女は杖の方向を少しだけ変える。 今度は光の槍を大きな猫の足下に向けて飛ばした。 槍をいやがって足を上げた大きな猫が地響きを上げながら倒れる。 それを見届けていたフェイトは杖を少し下げた。 「Sealing form.Set up.」 声と共にバルディッシュは音を立てて形を変える。 側面から伸びるのは4つの光の羽。 光の羽が放電を起こし、バルディッシュの戦端に光球を作った。 「捕獲」 少女は光の大きさを確かめ、それを大きな猫に撃ち出した。 その光の動きをルイズが見たらどう思っただろうか。 光球は全くぶれることなく大きな猫に引き寄せられるように飛んだ。 ルイズにはできない完全なコントロールで。 猫に当たった光球は、爆発を起こす。 そう見えたのもつかの間、形を電撃の網に変え猫を捕らえた。 電撃に身を包まれた猫は悲鳴を上げ、苦しさを伝えようとするが少女はただ何かを待っているだけだった。 そして、それは起こった。 悲鳴を上げ続ける猫から浮かび上がるものがある。 ジュエルシードだ。 「Order?」 「ロストロギア。ジュエルシード。シリアル14」 猫がさらに大きな悲鳴を上げた。 それを聞いた少女は何を思ったのか、顔を少し俯かせる。 「封印」 「Yes sir.」 杖を振り上げればたちまち空には暗雲が立ちこめる。 暗雲の中には光の槍が無数に作られ、それらは全て地上に横たわる大きな猫に降り注ぐ。 「Sealing.」 それだけでは終わらない。 暗雲は見上げるほどもある猫を覆い尽くすような雷を吐き出した。 ふくれあがった雷の光があたりを包み、そして消える。 後には弱々しい鳴き声を上げる普通の猫と、その上に浮かぶジュエルシードがあった。 「Captured.」 バルディッシュの宣言と共にジェルシードは杖の中に消えた。 少女は水蒸気を吹き上げるバルディッシュを持つ手とは反対の手で猫をそっと持ち上げた。 「ごめんなさい」 少女は手の中で小さく動く猫の体についた傷をそっとなでる。 指についた血を見つめ、目を伏せた少女は森の中に消えようとした。 その時、少女を止める声があった。 「待ちなさい!」 空から降り立ったルイズがレイジングハートを構えていた。 ルイズは冷や汗を感じていた。 ついさっき見た雷の魔法の威力、そして精緻さにだ。 しかも 「ルイズ……あの魔法。ミッドチルダ式だよ」 ルイズはユーノの言葉に首を動かすだけで答える。 背を見せる黒い少女は動かない。 「あなた……誰?」 後ろ姿には見覚えがない。 服はバリアジャケットだから、それで誰かを知ることはできない。 黒い少女はゆっくりと体を回した。 「フォトンランサー」 光の槍がルイズに放たれる。 「危ない、ルイズ」 人の形になったユーノがルイズの前に降り立つ。 両手を前に着きだし、魔法陣のシールドを展開。 ぶつかったシールドと槍は互いに光を発した。 「きゃああっ」 突然の強い光にルイズは目を背け、腕で顔を覆う。 その間もシールドに槍が当たる音は続いていた。 「く……」 槍の音が終わる。 同時に目を焼く光もなくなる。 黒い少女も消えていた。 「ユーノ、さっきのって……」 「うん。魔導師だ。それに、ジュエルシードを集めてた」 ルイズはレイジングハートを強く握った。 指の関節が白くなる。 「あの娘の魔法……すごかった」 「ルイズも練習すればできるようになるよ。ルイズは才能があると思うから」 「ほんと?」 「うん」 ルイズは自分の顔が笑ってしまうのに気づいた。 だがユーノが振り向くのに気付くと、あわてて両端が上がっている口を押さえて隠した。 「じゃあ、もう少し練習しましょう」 「あ、ルイズ。もうみんな起きる時間だよ」 「あっ!」 この練習はみんなに知られたくなかっだ。 だから、みんなの前では今まで通りの生活を続けなくてはいけない。 「ユーノ。帰るわよ」 ユーノはフェレットに姿を変える。 ルイズはユーノを肩に乗せて学校に向けて飛んだ。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ
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【アンリミテッド・エンドライン】 ガソリン 新庄・運切に支給。 テロリスト集団「レギオン」によってホテル・アグスタに撒かれた大量のガソリン。正確な量は不明だが、機動六課隊舎を軽く火の海にするのに十分な量だった。 レギオンのアサルトライフル スバル・ナカジマに支給。全100発。 テロリスト集団「レギオン」の構成員が使用するアサルトライフル。肩から提げるためのベルトが設けられている。 【ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL】 RPG-7 ギルモンに支給。 ソ連の開発した歩兵携行用対戦車擲弾(ロケット弾)発射器。 専用の弾頭として榴弾5・照明弾2・スモーク弾2が付属している。 【仮面ライダークウガA’s ~おかえり~】 トライアクセラー ティアナ・ランスターに支給。 「トライチェイサー2000A」か「ビートチェイサー2000」を起動するために必要なバイクの右ハンドル。 トライアクセラー単体でも警棒として使用することが可能。 バベルのハンマー 金居のデイパックに転送されたボーナス支給品。 未確認生命体第45号ことゴ・バベル・ダの使用する大金槌。 高い殺傷能力を有しており、バベルの怪力と相まって、紫のクウガの鎧に傷をつけるほどの威力を発揮した。 【キャロが千年リングを見つけたそうです】 千年リング 万丈目準に支給。 古代エジプト王朝の時代に生み出された、千年アイテムの1つ。目の模様を彫り込まれた三角の板を中心に、5本の角錐を飾り付けた輪と繋げた純金の装飾品。 大邪神ゾークの一部にして、盗賊王の記憶を持つ邪悪な魂「バクラ」が乗り移っている。バクラの人格が宿ることによって、千年リングの持つパワーを行使することが可能となるが、本ロワにおいては、人格交代は6時間ごとにしかできず、その状態も1時間しか維持できない。制限の詳細は【制限一覧】を参照。 【幻想殺し】 ブローニングM2重機関銃 エリオ・モンディアルに支給。 全長1560mm・重量38.0kg・口径は12.7mm×99・装弾はベルト給弾・発射速度は毎分650発という基本構造・性能・更新コストなどトータル面で他の追随を許さない重機関銃の傑作品。 当然発射時の反動は桁違いだが地上戦闘用の三脚架がオプションとして付いているので問題はない。 さらに付随している弾丸300発は全て擬似的な耐魔加工が施されている。 現実での威力も1.5km先の人を弾丸一発で真っ二つにし吹き飛ばすほどで ゴルゴ13が使用した際には高町なのは(StrikerS時)のシールドを紙のように撃ち抜く程の威力を示している。 【SHINING WIND CROSS LYRICAL】 シーナのバリアジャケット フェイト・T・ハラオウン(StS)に支給。 シーナ・カノンがリーベリアで着ていた服を、機動六課がバリアジャケットに改造したもの。 赤を基調とした、さながら中世の三銃士を彷彿とさせるコスチューム。腰にはサーベルが付属している。 【その他69】 ファウードの回復液 八神はやて(StS)の手元に転送されたボーナス支給品。 魔導巨兵ファウード内蔵された機関が生成する液体。 これに浸ったり摂取したりする事で心の力(≒魔力)や体力、怪我を癒す事ができる。 【ティアナが世紀末にやって来たようです】 ラオウの兜 天上院明日香に支給。 世紀末覇者拳王こと、ラオウが被っている兜。 漫画に詳しい人が見れば気付くだろうし、被る人が被れば迫力が出るかもしれない。 【Devil never Strikers】 エボニー&アイボリー ヴァッシュ・ザ・スタンピードに支給。 ダンテの愛用する二挺拳銃。エボニーが黒く、アイボリーが銀色。 どちらも共に弾丸は10発分。 リベリオン アンジール・ヒューレーのデイパックに転送されたボーナス支給品。 「反逆」の名を冠した大剣。 【.hack//Lightning】 憑神鎌(スケィス) キャロ・ル・ルシエに支給。 巫器(アバター)の第一相<死の恐怖>。 ロストロギアによって構成された、エリオの用いる術式不明の大鎌型デバイス。 黄金の彫金が施された、漆黒の鎌の形状を持つ。腕には禍々しいラインを持ったガントレットが装着され、それによって憑神鎌の重量は、限りなく持ち主に最適化される。 普通に切り裂くだけでも絶大な威力を発揮するが、その他にも以下のスキルを使用可能。 ショット……手のひらから魔力弾を発射する。連射可能。 死ヲ刻ム影……通称データドレイン。魔力結合に干渉・改竄する能力を持った必殺技。 憑神刀(マハ) 八神はやて(A s)に支給。 巫器(アバター)の第六相<誘惑の恋人>。ロストロギアによって構成された、ルーテシアの用いる術式不明の刀剣型デバイス。独特の曲線を描く紫の刀身と、薔薇をモチーフとしたレイピアのような護拳を持つ。その重量は持ち主に限りなく最適化され、非力なルーテシアでも巧みに操ることができた。憑神鎌(スケィス)に比べて広域攻撃に特化されており、高い制圧能力を誇るが、直接斬撃の破壊力では憑神鎌に劣る。 以下のスキルを使用可能。 妖艶なる紅旋風……薔薇の花びらを巻き込んだ真紅の竜巻を発生させ、敵にぶつける広域攻撃。花びらは刃物のような切れ味を持ち、突風と斬撃の相乗ダメージを与える。 愛の紅雷……空中に複数の薔薇型ニードルガンを生成し、敵に目掛けて発射する。さながらビットのような遠隔操作が可能。 誘惑スル薔薇ノ雫(SS未登場)……通称データドレイン。魔力結合に干渉・改竄する能力を持った必殺技。 【ドラゴンボールZクロス(仮)】 仙豆 八神はやて(A s)に支給。全2粒。 非常に高い回復作用を持つ豆。1粒の栄養価が極めて高く、1粒食べれば軽く10日は飢えを凌げる。 【なの魂】 洞爺湖 ルルーシュ・ランペルージに支給。 銀時が愛用している、ごく普通の木刀。柄に書かれた「洞爺湖」の文字は、買い換える度に書き込んでいるらしい。 トランプ 金居に支給。 53枚で一組の一般的なトランプ。はやてと神楽がこれでババ抜きなどをしていた。 付属説明書曰く、『賭けポーカーに使ったり、ジョーカーだけ使ったり、使い方は自由』とのこと。 んまい棒 遊城十代に支給。全5個。 桂小太郎が携帯している非常食で、煙幕にもなる。モデルはうまい棒。 【なのは×錬金】 サンライトハート改 キース・レッドに支給。 黒い核鉄Ⅲ、突撃槍(ランス)の武装錬金。 通常は掌に乗る程の六角形の金属塊だが、所有者の闘争本能に呼応して展開して小型の槍となる。 所有者の生体エネルギーを使って推進力の獲得や刀身のサイズの変化などの特性がある。 また所有者の身体の各機能を強化させる事もできる。 ヘルメスドライブ ヴィータに支給。 探査機(レーダー)の武装錬金、所有者の闘争本能に呼応して展開し六角形のレーダーとなる。レーダーは一応盾や鈍器としても使用可能。 顔と名前を知っている相手の策敵、及びその場所まで瞬間移動する事ができる(但し、瞬間移動は2人が限界) 本ロワでは以下の様な制限が加えられている。 最初に使用した者が登録者となり、登録者が死ぬまでは登録者以外は使用出来ない。登録者が死ねば登録は解除される。 策敵範囲は現在エリアと周囲エリアの計9エリアで転移範囲は現在エリアのみ、策敵及び転移可能なのは登録者が顔と名前の両方を知っている参加者だけである。 同時に転移出来るのは登録者を含め2人まで。 一度転移した場合、6時間は再転移不能。レーダー能力は使用可能。 なお、核金状態であれば治癒力を強化する事が出来る(これはどの核金でも同じだが)。これについては登録者以外の相手にも使用出来る。 ちなみに、並行世界の相手であっても顔と名前を知っていれば探知&転移は可能。但し、外見が大きく異なる場合は同じ名前ではあっても一応別人として扱われる。 例えばフェイト(A s)は知っていてフェイト(StS)の姿を知らないならフェイト(A s)しか探知&転移できない。 そしてこのロワの場合クロノ(A s時代から参加)を探知&転移できるのはA s時点でのクロノの顔と名前を知っている場合のみ。 例えばStSでの姿しか知らない参加者はクロノを探知&転移は不可能。 但し、ヴォルケンリッターについては外見変化が無いので探知&転移は可能。 例えばナイブズ(A s時代から参加)がシャマル(StS時代から参加)を探知&転移、及びスバルがシグナム(A s時代から参加)を探知&転移は可能。 【フェレットゾンダー出現!】 ガオーブレス 天上院明日香に支給。 GGG機動部隊隊長獅子王凱の左腕についているパーツ。ライオンを模した金色の籠手。 仕込まれているウィルナイフは、使用者の意志によって自在に切れ味を変える。 なお、このロワにおいては、ギャレオンを呼び出すことはできない。 【魔法少女リリカルなのはsts//音が聞こえる】 虚空ノ双牙 ヴィータのデイパックに転送されたボーナス支給品。 謎の少年・カイトが用いていた双剣。 普段は禍々しい鉈のような形をしているが、戦闘時には刃を展開し、風車のような三つ又の形状に変形する。 大剣・大百足 フェイト・T・ハラオウン(StS)に支給。 ハセヲが所持していた、黒と紫を基調とした大剣。作中でハセヲが魔導師を名乗っていたことから、これもデバイス扱いだと思われる。 刀身には無数の細かな刃が並んでおり、さながらチェーンソーのように回転する。 【魔法少女リリカルなのは STS OF HUNTER】 イカリクラッシャー セフィロスに支給。 水属性のハンマー。見た目はそのまま碇。 いにしえの秘薬 金居に支給。 どのような負傷も完全回復できる上に体力も完全に回復できる薬。それゆえに調合は困難。 小タル爆弾 ルルーシュ・ランペルージに支給。 火薬を詰めた小さな樽で、導火線に点火することで起爆させることができる。 レイトウ本マグロ アンジール・ヒューレーに支給。 氷属性の大剣。見た目は冷凍されたカジキマグロ。 【魔法少女リリカルなのはStylish】 オリーブ抜きのピザ ゼスト・グランガイツに支給。 ダンテが年中出前を取っている大好物。種類はマルゲリータ・ピザ。本人の好き嫌いにより、オリーブは抜かれている。 ダンテの赤コート ヴァッシュ・ザ・スタンピードに支給。 その名の通り、ダンテが身に纏っている赤いロングコート。デザインは「Devil May Cry」のものと思われる。 【魔法少女リリカルなのはStrikers-砂塵の鎖―】 バニースーツ ルーテシア・アルピーノに支給。 バレンタインのプレゼントに、はんたが六課の面々へと贈ったもの。 【魔法少女リリカルなのはStirkers May Cry】 閻魔刀 武蔵坊弁慶に支給。 一振りの日本刀。 【魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~】 朱羅 シグナムに支給。 戦国武将・真田幸村の用いた、二本一対の三又槍。 【LYLICAL THAN BLACK】 黒のナイフ ヴィヴィオの手元に転送されたボーナス支給品。 「組織」に所属する契約者・黒(ヘイ)が使用するナイフ。 【リリカル・ニコラス】 カリムの教会服とパンティー 八神はやて(StS)に支給。 聖王教会所属のカリム・グラシアが着ている黒の教会服とパンティー(補足すると洗濯したての状態)。 以下パンティーを拾った某牧師の感想。 『いやぁ、このでかさ、こりゃ穿いとるのは相当なデカ尻やな。しかも色が白や! 色気ないにも程があるで~』 パニッシャー アーカードに支給。 十字架型の重火器。『トライガン』の世界にて最強の個人兵装とされ、下部がガトリング、上部がミサイル砲となっている。 弾丸の破壊力は航空機にのるような機関砲以上あり、砲弾一発でも厚さ数mのコンクリに1m近い風穴を開け、発射速度は秒間100発以上はある。 ミサイルランチャーの方は100m以上の爆風と衝撃を起すほど。砲弾は自動装填があされるので連射が可能 またパニッシャー×3の一斉射撃を防ぎきる異常な堅牢さもあり盾としても利用可能。 大の大人5,6人ほどでようやく持つことが出来、総重量は数百キロある。 ウルフウッド、ラズロはその超重量を接近戦での戦闘時に一瞬で数十回以上振りますなど攻撃に使用していたが、それは生体機能強化を受けている化物の為である。当然ながらその重量の為、人類が扱える所か持てる物ではない。 【リリカル・パニック】 SIG P220 早乙女レイに支給。全9発。 警察および軍用のオートマチック拳銃。 クレイモア地雷 エネルに支給。全5発。 アメリカ軍が使用する指向性対人地雷の一種であり、加害範囲外半径100m圏内は危険区域とされている。 グロック19 柊かがみに支給。装弾数は15+1。 日本警察のSATでも使用されていると言われているマガジンタイプの拳銃。 投げナイフ 泉こなたに支給。全10本。 投擲用のナイフ。 【リリカル遊戯王GX番外編 「最強! 華麗! 究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)」】 青眼の白龍 柊つかさに支給。 遊戯王カードの一種。デュエルディスクにセットする事で具現化出来る。青い眼をした白い龍。攻撃力3000、防御力2500。海馬瀬人の代名詞とも言えるカード。
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前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ 食事の間、ルイズは心配になってきた。 ユーノはちゃんと食べているだろうか。 出された物が本当はフェレットに食べられない物じゃないだろうか。 心配になったので確認することにした。 (ユーノ、ユーノ。ご飯、食べてる?) 念話で話しかける。 (あ、ルイズ。うん、食べてるよ。おいしいよ) ほっとする。 (だったら、食べ終わったら教室に来てね) (うん、わかったよ) どうやら心配はなかったようだ。 食事に戻ったルイズは、弟ができたらこんなのかも知れない、そんなことを考えていた。 厨房の片付けをしていたシエスタは小さい何かを叩く音を聞いた。 トントントントン音がする。 耳を澄ませるとやっと音の方向がわかった。 入り口のドアが叩かれている。 だけど少しおかしい。 扉は普通、胸の高さで叩く物だが、この音は膝の高さくらいを叩いているように聞こえる。 それでも扉が叩かれているのには変わりない。 「はーい、待ってください」 小走りで扉まで行って、開ける。 「あら……?」 誰もいない。 左右を見回すが人影もない。 もう一回見回しているうちに足下から小さい動物の鳴き声が聞こえた。 「きゃっ!?」 予想外の物を見つけて声を上げてしまう。 「どうした?……こ、こいつは」 聞きつけたマルトーも来て目を丸くしてしまう。 二人の足下にはミス・ヴァリエールの使い魔のフェレットが皿を持って待っていたのだ。 渡したいように前に皿を出しているのでマルトーが皿の端をつまんだ。 「これでいいのか?」 マルトーが皿をしっかり持つとフェレットは前足を放し、1回お辞儀をしてどこかへ走って行ってしまった。 「随分丁寧な使い魔さんでしたね」 「ああ、いけすかねえ貴族どもの使い魔とは思えねえくらい丁寧なヤツだ」 二人はしばらく扉の前に立っていた。 ミス・シュヴルーズが教壇で話を始めたとき、ルイズは酷く落ち着かなかった。 「このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔達を見るのがとても楽しみなのですよ」 さらにあわてる。無意味にきょろきょろする。 ユーノがまだ来てないのだ。 教室に来て、とだけ言って教室の場所を教えていなかったのであたりまえと言えばあたりまえである。 念話を使うとユーノがかなり近くに来ていたことがわかった。 「おや、ミス・ヴァリール。あなたの使い魔はどうしたのですか?」 「い、今ここに来てます」(早く来て、ユーノ) 声が少し裏返ってしまった。 「ホントは召喚に失敗したんじゃないのか。ゼロのルイズ。」 「なによ!あんただって見てたじゃない。私が召喚するとこ」 「じゃあ、使い魔に逃げられたんだぜ」 「逃げられてないわよ!すぐに来るんだから!!」 扉が少し動く。 少し開いた扉の隙間から入ってきたユーノは、ルイズの足下まで走ってくる。 (何してたのよ。おそいじゃない) (ご、ごめん) (いいわ。でも今度はもっと早く来てね) ユーノに手を走らせ、机の上に上げてからルイズはマリコルヌを睨んだ。 「ほら見なさい。ちゃんと来たじゃない」 マリコルヌは憮然として席に着いた。 「では、ミス・ヴァリエールの使い魔も見せていただいたところで授業を始めましょう」 生徒達がシュヴルーズに注目したのと同じようにユーノも注目する。 「なにか生徒が1人増えたような気がしますね」 シュヴルーズは杖を振りながら授業を始めた。 授業は今までの復習から始まった。 4つの系統の話から始まりドット、トライアングル、スクエアと言ったメイジのレベルの話をおさらいしていく。 生徒達は次第に集中力を失っていったが、ルイズの隣でユーノはシュヴルーズを熱心に聞いていた。 (ねえ、ユーノ。面白いの?) ルイズにしてみれば何度も聞いた話だ。 重要な部分であるのはわかるが、とうに聞き飽きている。 (うん、面白いよ。4系統は他の文明でもよく出てくるけど、ドットやトライアングルって言うのは珍しいね。どうなってるんだろう) そういえばユーノは遺跡発掘の仕事をしていたと言ってたから他の文明には詳しいのだろう。 といってもルイズにはフェレットが遺跡発掘をしている姿がどうにも想像できなかった。 ──世界ってもしかしたら私が思っているのよりずっと広いのかも知れない。 ルイズが世界の広さに思いを馳せている間も授業は進んでいく。 「では、この石を真鍮に変えてもらいましょう。誰にやってもらいましょうか」 シュヴルーズは生徒達を見回す。 「先生、僕が……」 ギーシュが立ち上がって薔薇をキザに振ったところでルイズは決心した。 先に立ったギーシュを押し切る声を上げる。 「先生!私がやります。やらせてください!!!」 あまり大きなの声だったで、みんながルイズを見る。 キュルケが顔を青ざめさせていた。 「ちょっと、ルイズ。本気?」 「もちろん本気よ」 「止めなさい!あなたなにをしようとしているかわかってるの?だいたい、あなたは……」 「ミス・ツェルプスト。それは言いすぎでしょう」 シュヴルーズが二人の間に入る。 「ミス・ヴァリエール。やってご覧なさい」 「はい!」 教壇の前に走っていく。 「見てなさい、キュルケ。絶対成功させてやるんだから」 ──そうよ、絶対成功するんだから。 ──自信があるんだから。 昨日の夜だってあんなにすごい魔法を使えた。 ユーノと念話だってできる。 そう、この数時間使う魔法は全部成功させている。 ──それに私にはこれがある。 「レイジングハート、手伝ってね」 「Yes.My master」 こっそりたのんでおく。 教壇に立つとキュルケはもう逃げる準備をしていた。 それに比べてユーノはしっかりこっちを見ている。 (ルイズ、がんばって) (あたりまえよ) まずはレイジングハートを起動……は止めておく。 変身した後の服のバリアジャケットはすごく素敵だがあまりによすぎて今みんなにお披露目するのは恥ずかしい。 なので杖を持つ反対の手でレイジングハートを握った。 ルイズは目をつむり、ルーンを唱える。 ふと思う。 ──もしかして力をもっと集中させたらすごい成功になるかも知れない。 力を集中させるには、あの言葉。 (リリカル、マジカル) レイジングハートに力が貯まっていくのがわかった。 起動させているときほどではないが魔力が少しずつ貯まっていく。 (リリカル、マジカル) また少し。 (リリカル、マジカル) ──いける! レイジングハートと体に貯まっている力が自信を呼び起こす。 ルイズは杖を振り下ろした。 「Error.」 庭を掃除しているシエスタの後ろで爆音がした。 爆発自体はよくあることなので普段なら気にしないが、今のはとても気になる。 いつもの3倍くらい大きな音だったからだ。 音の元を見ると教室から煙がもうもうと噴き上がっていた。 さらに窓から誰かが──シエスタは知らないがマリコルヌが──魔法も使わずに飛んでいくのが見えた。 シエスタは放物線を描いて飛んでいくマリコルヌを目で追った。 とりあえずどうしていいかわからなかったからだ。 マリコルヌが学園の塀の手前まで飛んだところで、ようやく頭が働き始めた。 「大変!!」 シエスタは塀の向こうに飛んでいくマリコルヌを追って走り出した。 煙の晴れた教室は惨憺たる物だった。 無事な家具は1つもない。 机の下に隠れた生徒もひっくり返っている。 シュヴルーズについては言うまでもない。 顔を炭で真っ黒にして気絶中だ。 ギーシュは何故か指で床に落ちた灰に「ルイズ」と書いていてから倒れている。 「な、なんで失敗したのよ」 ルイズは涙目でつぶやいた。 「なんで……じゃないわよ」 キュルケはそれだけ言うと口から煙を噴いて力尽きた。 前ページ次ページ魔法少女リリカルルイズ